第15講

見た目を表す言葉の辞典

この章では、目視確認者が使う「左寄り」「詰まっている」「浮いている」「散らかっている」などの言葉を、視覚経験に依存しない形で整理します。

なぜ評価語の辞典が必要なのか

全盲の制作者がデザインに関わるとき、見えないこと自体よりも、見える人が使う言葉の意味を共有できないことが大きな障壁になります。

たとえば「少し左に寄っている」と言われても、それが致命的な崩れなのか、軽い違和感なのか、意図的な配置なのかが分からない場合があります。そこで、評価語を辞典として持っておく必要があります。

基本の評価語

詰まって見える
文字、ボタン、カードなどの間隔が狭く、情報同士が近すぎる状態。読む前から窮屈で、内容量が多く感じられる。
間延びして見える
余白が広すぎて、情報同士の関係が弱く見える状態。ページ全体が空いていて、内容が薄く見えることがある。
左に寄って見える
本来中央に置かれるべき見出し、カード、ボタンなどが、画面の左側に偏って見える状態。左右の余白が不均等に感じられる。
浮いて見える
ある部品だけが周囲と違う色、大きさ、余白、影を持っており、全体の中でなじんでいない状態。
悪目立ちしている
本来そこまで重要でない要素が、色、サイズ、動きなどで過剰に目立つ状態。利用者の注意を不要に奪う。
視線誘導が弱い
見える人がどこから見ればよいか分かりにくい状態。大きな見出し、まとまり、強調ボタンなどの道しるべが不足している。
情報が散らかっている
複数の情報が、規則性なくあちこちに置かれている状態。分類や優先順位が視覚的に伝わらない。
統一感がない
ページごと、部品ごとに色、文字サイズ、余白、枠線、ボタン形状などが違い、同じサイト内の部品に見えない状態。
素人っぽく見える
揃え、余白、文字サイズ、色数、画像サイズなどの調整が粗く、意図して作られた画面ではなく、部品を置いただけに見える状態。
信頼感が弱い
公的・福祉・医療・教育などの場面で期待される落ち着き、読みやすさ、整理感が足りない状態。

評価語を依頼文に変換する

評価語は、指摘されたあとに理解するだけでなく、確認依頼にも使えます。

確認したいこと依頼文の例
詰まり文字やカードの間隔が詰まりすぎて、読む前から圧迫感が出ていないか確認してください。
中央配置見出しとボタンが中央にそろって見えるか、左右どちらかに偏っていないか確認してください。
悪目立ち問い合わせボタン以外の要素が必要以上に目立っていないか確認してください。
統一感各ページの見出し、カード、ボタンの見た目が同じサイトの部品として自然にそろっているか確認してください。

講義のまとめ

見た目の評価語は、晴眼者だけの感覚語ではありません。全盲の制作者にとっては、目視確認者と同じ問題を共有するための業務用語です。